お兄ちゃんは悪魔サマ
「どうした?」
「ちょっとお話があって……。お時間ありますか?」
「いいけど、尚哉は?」
「尚哉さんはコンビニに行ってます」
俺は軽く返事を返すと、紗香に座る様に促した。
ゆっくりとした足取りで部屋に入って来た紗香。
普段はポケーッとしていて、ボケまくりの紗香。だが、今日の彼女は少し様子が違っていた。
とても真剣な眼をしている……
座り込んだ紗香は、顔を上げて話し出した。尚哉とのこれからの事を。
「悠哉さん……、私ここを出て行きます」
「……出て行ってどうする?」
「解りません。ただ、これ以上はここに居られません」
「何故だ?尚哉との気持ちは通じあってたんじゃないのか?」
「だからこそです。私はこれから先、ずっと悪魔として存在していかなければならない。人間みたいに年を取る事もなければ、死ぬ事だってない。傍に居れば、尚哉さんは必ず辛い思いをする事になる……」
紗香は生きていれば、まだ14歳かそこらだ。それが、こんな事を考えるものなのだろうか?
自分だって苦しいはずなのに……
悪魔だろうが人間だろうが、同じように感情がある。
それなのに、現実は残酷だ――