お兄ちゃんは悪魔サマ
きっとその時、私は撃たれた……
私はその日、死ぬはずだったよね?そういう運命だったんだよね?
じゃあ、どうして私は生きているの…………?
答えなんて1つしかない……
そうだよね?お兄ちゃん……
堰を切ったように一気に溢れ出した記憶と共に、涙が頬を伝った。
お兄ちゃんの部屋で聞こえた、愛してるの言葉。
あれもお兄ちゃんだったんだね。
ううん……それより前にもその言葉を聞いた。
あれは、真っ白な夢の中……
私を死の淵から助けてくれた声。私を導いてくれた声。
あれもお兄ちゃんだね……
私は拳を力いっぱい握りしめ、声を押し殺してひたすら泣いた。
泣いて泣いて、それでも止まる事を知らない涙。
体中の水分がなくなってしまうんじゃないかと思うほど泣いた時、私の瞳に綺麗な夕日が映った。
「帰ろう……」
ここにお兄ちゃんが居る訳じゃない。
ここでずっと泣いてたって、お兄ちゃんはきっと悲しむ。
涙は一向に止まる気配すら見せなかったけれど、私は歩き出した。