お兄ちゃんは悪魔サマ
 
  *唯side*



泣きすぎてこれでもかと言うほどに腫れ上がった瞼とむくんだ顔を、持っていたハンドタオルを水に濡らして冷やしながら家に向かった。

相当酷い顔をしてたみたいで、行き交う人の視線が集まったりもしてたけど、そんな事は気にもならなかった。




家に着く頃には辺りは真っ暗。

心配したお母さんが慌てて玄関まで来て、私の泣きはらした顔を見てびっくりしてた。

でもとてもじゃないけど話す気分にはなれなくて、大丈夫だからとだけ言って自分の部屋に向かう。


お母さんが心配してこちらを見ているのが解ったけど、今はそれを気にする余裕はなかった……





二階に上がり、お兄ちゃんの部屋のドアに視線をやる。
お兄ちゃんの部屋に入ろうか少し迷って、自分の部屋のドアノブに手をかけた。

せっかく止まった涙が、また出そうだったから……


そして疲れた体を休ませようとベッドに向かった時、ベッド横の机のある異変に気づいた。

私はゆっくり机に近づき、置かれている真っ白な封筒と、一本の白い羽を手に取る。




「手紙と、羽……?」




私は一度羽を机に置き、引き出しからハサミを取り出すと、丁寧に封書を開け中から数枚の便箋を取り出した。










それは、お兄ちゃんからの最期のメッセージ。




 
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