お兄ちゃんは悪魔サマ
羽村 唯 16歳
現在、死んだはずのお兄ちゃんが目の前で気絶してます。
ありえないはずの光景を目の当たりにしても、何故か妙に落ち着いている私。
冷静に現状の分析を試みる。
「うぅ~ん?もしかしてお兄ちゃん、本当は生きてた……とか?」
「……んな訳あるか!」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
Σバッチーンッ
「ぶほぉっっ」
あ、やっちゃった。
お兄ちゃんが急に起き上がった事にびっくりした私は、思わず平手打ちを食らわせてしまった。
お兄ちゃんは、また気絶した……
お兄ちゃんは、バイクの事故で死んじゃった。
ちょっとヤンキーでニートなお兄ちゃん。
バイクに乗ってどこかに行くか、バイクの手入れをするか。
とにかくバイク漬けの毎日を送っていた。
そんなどぉぉぉしようもないお兄ちゃんだったけど、私のたった1人のお兄ちゃん。
もちろんツーリングも大好きで、バイクでいろいろな観光地を巡っていた。
少し長旅になると言って家を出たお兄ちゃんは、そのまま帰らぬ人となった。
まだたった1ヶ月前の事……
お母さんもお父さんも大泣きしてた。
もちろん私も。
…………それが何でここにいるの?
私は気絶したお兄ちゃんに少し近寄り、ジーッと眺めてみる。
座りこんで、その頬をツンツンしてみる。
脇をくすぐってみる。
「うひゃひゃひゃっ」
「あ、起きた」
「こらっ!お兄ちゃんで遊ぶな!!」