お兄ちゃんは悪魔サマ


突然の突拍子もないカミングアウト。
私はポカーンとお兄ちゃんを見つめる。




「え~っと……アタマ?」

「悪魔」

「……アクビ」

「……悪魔」

「ア、ア、ア~アシタ?」

「だから悪魔だっつーの!!ア・ク・マ!悪魔悪魔悪魔悪魔悪魔!!」

「あぁ~もう解ったよ!」



お兄ちゃんによると、死んだ直後に悪魔から話しを持ちかけられたんだって。
んで、ある条件と引き換えに悪魔になる契約をしたとか。

俄かには信じ難い話だけど、目の前にはお兄ちゃんが居る。
どちらに転んでも現実的な話じゃないのは確かだけど……




「でも、唯の前に出て来てもいいの?」

「本当はダメ。悪魔は生前を知る人間とは関われない」

「じゃあどーして出てきたの?」

「ヒ・ミ・ツ!」

「悪魔になった条件は?」

「ナ・イ・シ・ョ!」

「殴ってもいい……?」

「ダダダダ、ダ・メに決まってるだろ!!」





その後何度も迫ってみたけど、結局お兄ちゃんはな~んにも話してくれなかった。

何も知らない私に、言える訳がなかったんだよね……



 
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