お兄ちゃんは悪魔サマ
*・。・お兄ちゃん・。・*
次の日の朝、目が覚めるとお兄ちゃんは居なくなってた。
夢……?幻……?
それにしても、リアルな夢だったなぁ……
「ゆーいー!!遅刻するわよ」
「は〜いっ!」
部屋でボーッとしていた私はお母さんに急かされ、急いで支度を済ませて学校に向かった。
お兄ちゃんの事、きっとお父さんやお母さんには言わない方がいい気がする……
まぁ、ただの夢だったかもしれないしね。
「あっ、先輩!!」
通学途中に見つけた先輩に手を振る。
彼は御堂 悠哉(ミドウ ユウヤ)先輩。
私より1つ年上で、私の彼氏。
付き合ってまだ2ヶ月で、ラブラブ真っ只中です!
お兄ちゃんの事で落ち込んでた私を、いつも気遣ってくれる優しい先輩。
少し茶色がかった髪色は日に透けるととっても綺麗で、触ると撫で心地の良いふわふわの髪質。
少し切れ長な瞳に、縁なしの眼鏡がよく似合ってる。
私は思わず見惚れていた……
「ふ〜ん、あんなんがタイプなのか?」
ん……?空耳?
思わず首を傾げた時だった。
「ずいぶん弱そうだな」
空耳じゃない……。今のは確かに聞こえた!
周りを見回してみても、特に先ほどの言葉を発したような人は見当たらない。
「ミャ〜オ」
その時ふと聞こえた鳴き声に下を向くと、1匹の黒猫が居た。
あっ黒猫ちゃんっ!
スリスリしてきて、可愛い〜!
私はその猫をゆっくり抱き上げた。すると猫の口が不自然に動き、人の言葉が発せられた……
「お兄ちゃんだ、妹よ」
「いやぁぁぁぁぁっ」
私は咄嗟に猫を放り投げた。
それもおもいっきり。
投げちゃった。
ま、お兄ちゃんなら大丈夫……か?