お兄ちゃんは悪魔サマ
「唯、どうした?」
「あ、大丈夫です!朝からちょっと悪魔を見ちゃって」
「悪魔……?唯は随分と面白い事を言うね」
いつの間にか、先輩は近くに来ていた。そして私の言葉にクスッと笑う。
その笑顔を見てると心がほんわかして、好きだなぁって感じる。
「ミャ〜オ」
げっ、お兄ちゃん……
やっぱり投げても大丈夫だったらしく、気がつけば足元に居た。
「猫か……首輪つけてないから野良かな?でも野良にしてはずいぶん毛並みがいいな」
「ニャ〜ゴロゴロ」
先輩はお兄ちゃ……猫を抱き上げた。
先輩に甘える猫は、こっち見てニヤッと笑った気がする。
く、く、悔しいぃぃぃ!!
私は、素早く先輩からお兄ちゃんをひっぺがした。
先輩はびっくりした顔をしてたけど、今はお兄ちゃんを何とかする方が先決!
「先輩ごめんなさい!ちょっと用事を思い出して。また放課後ね」
そのまま学校には向かわずに少し離れた所まで走った私は、小さな裏路地に入る。
「お兄ちゃん!!どういうつもりなの!?」
「ニャオ〜」
「ちょっと!!」
「ミャオ〜ン」
「………全部剃ってやる」
私は何も答えようとしないお兄ちゃんに苛立ちを覚え、そのふわふわの尻尾を掴んだ。