お兄ちゃんは悪魔サマ
気がつくと、私はパジャマに着替えていて自分のベッドで寝ていた。
そこにお兄ちゃんの姿はなかった。
携帯で時間を確認すると、夜中の1時過ぎ。
たくさん泣いたからかな……?やけに喉が渇く。
私はだるい体を起こして部屋を出た。重い足取りで階段を降りて行く。
「…………!」
「……っ!!」
階段を降りきった辺りで、話し声が聞こえた。
お父さんとお母さん…?
私は会話の内容が聞こえる場所まで移動しようと、また足を動かそうとした。
ポンッ
「きゃっ……んぐ」
唐突に肩に感じた感覚に悲鳴が出そうになるが、口を手で塞がれてしまった。
「唯、静かに……」
お兄ちゃん……?
首を回してお兄ちゃんだと確認する。目が合って、口を塞いでいたお兄ちゃんの手が外された。
「お兄ちゃん、どうして……?」
「唯、ごめんな……」
お兄ちゃんはとても悲しそうな顔をしていた。
そしてポツリ、俺のせいだ……と呟いた。
「どういう事……?」
「親父とお袋、離婚するって言ったんだろ?俺が死んでから、2人の歯車が狂い出した……」
お兄ちゃんが死んだのは、お兄ちゃんのせいじゃないよね?
死んで辛かったのはお兄ちゃんも一緒でしょ?
だから、そんな顔しないで……?