お兄ちゃんは悪魔サマ
 


「本当にお兄ちゃんのせいかなんて、聞いてみなきゃ解らない」



哀しそうなお兄ちゃんを見て、私は決意した。

どうせいつかはハッキリ聞かなきゃいけない事。
それなら、お母さんとお父さんにちゃんと聞こう……




「おい、唯っ」

「お兄ちゃんはここで待ってて?ちゃんと聞いてくる。私なら大丈夫だから……ね?」



お兄ちゃんは考えていた。
少しして下に向けていた視線を持ち上げ、真っ直ぐ前を見る。




「俺も唯と一緒に行くよ」

「……ちょ、ちょっと待って!お兄ちゃん出てったらパニックになっちゃうよ!!」

「誰がこのまま出てくって言った?俺は悪魔だぞ?姿を変える」




そしてお兄ちゃんは……

小さな小さなハムスターになった。


しかも真っ黒の……
余り可愛くない。




「お兄ちゃん、もう少し色変えられないの……?」

「動物に変身すると真っ黒にしかなれないんだよな……。修行不足かな、はは」

「きゃっ……!」



お兄ちゃんは私の体にトテトテッと登って、パジャマの胸元にあるポケットに入った。




「お兄ちゃん、大人しくしててね?」



声をかけるとお兄ちゃんはピョコッと顔を出した。




「大丈夫だ。行こう」





多分お兄ちゃんは真面目な顔をしてたんだと思う……


小さなその姿で両親の寝室を指差すお兄ちゃん。

こんな時に不謹慎だけど、ちょっと可愛い……




 
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