お兄ちゃんは悪魔サマ
「あっ、コラ!待ちなさい!」
すぐにお巡りさんは追って来た。
私は必死で走った。
「っゆ、い……頭、ぐるぐるっ」
尻尾を捕まれたままのお兄ちゃんは、前後左右に大きく揺れてる。
でもそんなの気にしてられない!
「ちょっと我慢!」
「お、鬼ぃぃ〜!!」
でも所詮、女子高生とお巡りさん。足の速さで勝てるわけもない。
あっという間に追い付かれ、お巡りさんに手を捕まれたその時だった。
突然、別の手が私を掴む。
そして体がフワッと浮いた。
「うわぁ……凄い」
私たちは空を飛んでいた。
人型に戻ったお兄ちゃんの背中には、悪魔の羽。サイズは何だか随分小さいけど……
「お兄ちゃん、ホントに悪魔になっちゃったんだ……」
「すげぇだろ?」
前を向いたまま得意気に笑ったお兄ちゃんの横顔が、ちょっとだけカッコよく見えた。
すると、その後頭部の一部に髪の毛がない場所がある。
「あ、ハゲ発見!」
「なにぃぃぃぃぃぃぃ!!」
お兄ちゃんが早く言わないから。
まぁ、また生えてくるよ。うん。