お兄ちゃんは悪魔サマ



少しすると、その女の人は軽くため息をついて去って行った。


尚哉くんは1人で何を買って来ただの、俺はこれがいいなどはしゃいでいた。

お兄ちゃんと先輩には何とも言えない雰囲気が漂っている。




「あのさ、俺今日はもう帰るよ。唯、ごめんな」

「はっ?兄貴帰んの?せっかく飯買って来たのに……ってか 何で?」

「ちょっと気分が優れないだけだ」



そう言って先輩はこちらに背を向けると、近くに居たお兄ちゃんに何か耳打ちしていた。
私には何を言ってるかは聞こえなかったけど……




「兄貴大丈夫かなぁ?」

「……きっと帰って休めば元気になるよ」

「そっか、そうだよな。んじゃ食うか!」



そう言うと尚哉くんは買ってきたものをいそいそと並べ始めた。

たくさんの袋の中からこれでもかというくらい、次から次へといろいろな種類の食べ物が出て来る。




「………これ全部食べるの?」

「いや~いろんなの見てたらあれもこれも食いたくなってさ、つい買っちまった。まぁ何とかなるだろ!陵~お前もこっち来て食べろよ」



尚哉くんの呼びかけに、お兄ちゃんはこちらに少し近づく。




「俺は食事いらねーから。少し散歩してくる。小一時間程度で戻るよ」




そう言い残していなくなってしまった……



 
< 92 / 288 >

この作品をシェア

pagetop