お兄ちゃんは悪魔サマ
「ふ、んっ……んんっ……」
薄暗くて視界が悪い中、ピチャッと卑猥な音がやけに耳に残る。
絡まった舌から滴り落ちる唾液が少し、顎を伝った……
その時、部屋の天井辺りが赤く光る。視線だけを向けると、赤いランプが点滅をしていた。
『時間ニナリマス。自動的ニドアガ開キマスノデ、先ニオ進ミ下サイ』
どうやら長居し過ぎたせいで、鍵の有無に関わらず進まなくてはならないらしい。
後ろの人がいるから当然か……
離れてしまったお兄ちゃんとの距離が、少し……淋しかった。
「行くぞ」
そう言って手を差し出すお兄ちゃん……
差し出された手を少し見つめて、自分の手を伸ばす。
それから出口までずっと繋がれた手は、熱かった……
いーえ、痛かった。の方が正解。
私達が止まってた部屋はまだまだ序盤だったらしく、怖いのが平気な私でさえ何度もビクッとしてしまった。
尚哉くんが怖いと言ってたのはら伊達ではなかったのだ。
お兄ちゃんは隣で叫びまくってました……。耳が痛い……
そしてようやく出口にたどり着くと、尚哉くんは元気になって戻って来ていて、お化け屋敷に並んでました。
「あっ唯、陵!こっちこっち!!」
そしてお約束通り、もう一度お化け屋敷に入る羽目に。
並んでる間、お兄ちゃんの顔はひきつってました……