お兄ちゃんは悪魔サマ
「ちゃんと話してみろよ」
別れ際に尚哉くんに念を押される。お兄ちゃんには聞こえないように、私に近づいてそっと耳打ちされた。
その尚哉くんの行動を見て、お兄ちゃんは眉間に皺を寄せていた。
「ホンット陵も解りやすすぎ……。あのさ、俺は先の事を考え過ぎても仕方ないと思うワケ。今は今しかないんだし、後悔したくないじゃん?」
尚哉くんはお兄ちゃんに聞こえないように、話し続ける。
「唯達の問題だし、軽はずみな事を言っていいかは解んねぇけど、俺は今を大切にして欲しいと思う」
「尚哉くんの方が年下なのに、ずいぶん悟ってるね……」
「まぁな。ハンターやってりゃいろんな経験するからさ」
そう言う尚哉くんは凄く大人びて見えた。
きっと、私なんかじゃ想像もつかない経験をたくさんして来たんだろうな……
駅で尚哉くんと別れて家へと向かう。帰りはお兄ちゃんに連れて帰って貰った。
久々に飛んだ空はとても気持ち良かった……
私はいつまでこうしてお兄ちゃんの側に居られるんだろう……?
お兄ちゃんはいつまで悪魔として存在していられるんだろう……?