ぼくらの事情
「おぉーっ。コレはなかなか大胆でストレートなアピールですよー」
「ヤツはストレート以外持ってませんからね。ついでに、毎回毎回勢い任せに言っては真っ赤になってるアホ面も見物ですよっ」
一体いつから見ていたのやら。
箸とお茶碗を持った咲奈と架が、キッチンの入り口からしゃがみ込んで一応こっそりと様子を窺っている。
「……二人ともデザート抜きだね」
なんやかんや毎回毎回飽きずに覗き見してる二人に、絆はデザートを楯に呆れ顔で言い放つ。
「ヤダヤダーっ!! 架は無しで良いから咲奈は許してよー」
「絆嬢がデザートになってくれるんなら俺は無しでも良いよ?」
「良いワケねぇだろっ!」
泣き付く咲奈の後ろで、悪びれた様子すら見せずサラッとセクハラ発言する架にツッコむ響生。
結局、平等に分けられたティラミスは、澪路のお気に入りのデザート……なんて思いながら作ったコトも忘れてしまう程の騒がしさの中で、それぞれの胃袋の中に収められていった。