ぼくらの事情
食休みをする間もなく、
「ここちゃんお風呂入ろーっ!」
キャピキャピとはしゃぐ咲奈に連れられて、女子二人は浴室へと消えていった。
手持ち無沙汰になった野郎二人は、
「殺風景な部屋だな」
ペットボトル片手に、今日の寝床になる澪路の部屋にやってきていた。
そこはシンプルな家具が並ぶよく整頓された部屋で、
「……なるほど。ここが絆嬢との愛の巣ってワケだ」
「っ!?」
セミダブルのベッドに、何故か二つ並んだお揃いの枕以外は何ら普通の部屋だった。
「そりゃそーだよな。絆嬢可愛いし。五年も一緒に居りゃ、そういうコトがあってもおかしくないよなー」
二つ並んだ枕を見下ろしたまま、ブツブツと一人勝手な解釈をし始める架に、
「そういうコトってどういうコトだよっ」
怪訝な顔付きの響生が、堪らず口を挟んだ。
一つ屋根の下に男女が暮らせば……って言いかけて、架はあるコトを思い出した。
「……良い機会だから教えてやるよっ」
未だ怪訝そうにしている響生を一瞥し、自分が持ってきた荷物から何やら手にした架はニヤリと不敵に笑っていた。