ぼくらの事情
そんな響生を後目に、一頻り笑った澪路は、
「雅さんとウチの親父、幼なじみの腐れ縁ってヤツらしいよ。……今日も実際、飲みに行ってるし」
種明かしされた真実に、響生はただ呆然と兄の顔を見つめていた。
「まさか、俺たちと絆が腹違いの兄妹なんて……ぷはっ」
そのマヌケ面があまりにも可笑しいらしく、せっかくおさまりかけていたモノが再びこみ上げている。
とんでもない勘違いで一人動揺していた響生は、
「笑うなっ!」
恥ずかしさの中に、どこか安心したような表情を浮かべ、声を張り上げた。
「ってコトだから、安心して口説いていいぞっ」
「うるせぇよっ!」
それをバッチリ見抜いた兄が、にんまりとイヤミな笑顔で自分を見つめてる。
それに腹を立て思わずかました舌打ちは、
「澪ちゃーんっ響生ー、紅茶入ったよー」
階段の下から二人を呼ぶ絆の声にかき消された。