ぼくらの事情

「俺の分、レモン入れてくれた?」


「うんっ。ちゃんと入れてるよ」



スタスタと階段を降りていく澪路は、笑顔で頷く絆の頭を撫でてからリビングへと入っていく。



それを見送った後、


「響生?」



階段のてっぺんからこちらを見下ろしてる響生に声をかけた。



ブスッとした如何にも不機嫌な顔のまま、一歩一歩を踏み締めるように降りてきた響生は、



「んっ?」



一番下で待っていた絆を見るなり、


「俺より澪路を先に呼ぶなっ」


澪路の名前が自分より先に呼ばれたことが気に入らなかったらしく、恨めしげな表情を浮かべていた。
< 133 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop