ぼくらの事情

「もぉー。相変わらずだなぁ」


そんな玲於をやれやれって顔で見上げ、笑い返す絆に浮かび上がる疑問は山ほどある。


まず、絆と知り合いなのか。

知り合いならどういう関係なのか。

何故、ここに居るのか。


つーか、何者だ?



なんて数々の疑問が頭を掠め、口にするよりも早く、


「なんで怒らねぇんだよっ!」


いの一番で響生の頭に浮かび上がった疑問点が、玲於から絆を引き離した響生の口から飛び出した。



「なんでって……」



響生に引き寄せられ、玲於に抱きつかれた時よりも驚いた顔をした絆が答えに困ったように口ごもってしまう。



自分が事故とは言え、キスした時は泣いて逃げ出した癖に……。



突然抱き付いたと思えば、頬チューまでかました玲於には何のお咎めもナシだ。



むしろ、玲於を見つめる瞳には親しみがこもっている。



「…………」



納得いかないと書いた響生の顔は、いつもより険しい表情だった。


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