ぼくらの事情
険しい響生の顔を困ったように見つめた後、
「だって玲於だもん」
「理由になってねぇだろっ!」
漸く絆の口から出た回答は響生を納得させるどころか、怒りを余計に増幅させた。
苛立つ響生を不可解そうに見上げる絆の隣で、
「絆の彼氏?」
さっきから喚く響生の様子に、思わず玲於の口から出たのがこれだった。
「違うよ。響生が一方的にここちゃんに惚れてるだけ」
「の癖にやたら独占欲が強くてさー。嫉妬深いし女々しいだろー」
すかさず響生という存在を説明し始めた幼なじみたちに、玲於は相づちを打ってみせる。
響生の散々な言われようにただただ頷いていた玲於は、
「仕方ないよ。それだけ絆が魅力的ってコトだからね」
やっぱり百パーセント無添加な爽やか笑顔で、アッサリと架を黙らせてしまった。