ぼくらの事情

わざわざここまで来た意図がわからず、怪訝な表情を浮かべた響生がゴミ箱にペットボトルを投げ入れた。



このまま知らん顔で立ち去ってやろうかと、足を校舎の方に向ければ、


「でもさ、絆には全然伝わってないよね。響生の気持ち」


「………」


思わず振り向いた視界に飛び込んできた表情はやっぱり笑顔のままで、それが挑発なのか無意識なのか……響生にはわからなかった。



「何が言いたいんだよっ」


レンズの奥の瞳が鋭くなり、睨み付けるように玲於を見つめる。


それをじっと窺う顔は余裕の微笑みで、更に響生の神経を逆撫でた。



「響生は絆の傍に居たいの? それとも……異性として見て欲しいの?」


「はぁ?」


自分の問い掛けにもろくに答えないまま、更に質問を重ねる玲於の顔付きが不意に変わる。



ずっと浮かべていた笑みが消え、恐らく初めて見るであろう真剣な眼差しが響生を捉えていた。



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