ぼくらの事情
「アンタらが再婚したりしたら俺たち……」
「キョーダイだね」
「あら、ホント」
あっけらかんと答える当事者二人に、響生の怒りは一気に燃え上がる。
端から見てるうちに話はとんとん拍子で進んでいき、最終的には響生が一番恐れていた展開へとなってしまった。
泣くに泣けないこの状況に、
「近親相姦はダメだぞ、響生」
「ふ……ふざけるなぁ!!」
ニヤリと不敵に笑う澪路は、思いっきり響生の逆鱗に触れる。
「俺は! 絶対認めないからなっ!」
せっかく絆と和解も出来てこれからって時に、キョーダイなんて枠組みに入れられたりしたら堪ったもんじゃない。
一人断固として反対する響生に、
「……じゃあ、響生は絆ちゃんが雅さんと一緒に居られるっていうのも反対なんだね?」
切り札と言わんばかりに、この話題を持ち出して揺さぶりをかける。
雅や澪路、家族と一緒に居たいと願っていた絆の気持ちは響生には痛い程わかる。
思わず口ごもってしまった響生の顔を覗き込み、
「……響生」
「えっ?」
響生の手をキュッと握る絆は、自分と同じ気持ちで居るのかもしれない。