ぼくらの事情

「ちゃんと教えたに決まってるだろっ」


「じゃあ良かっ……」


「まずは清い交際からだよ、って」


「…………」


ここちゃんごめん……。
架が飽きるまで、とばっちりがいくかも……。


悪魔が降臨した幼なじみに、ひたすら心の中で絆に謝った。



「絆嬢には悪いけど、こうした方が響生の絆嬢への風当たりは良いと思うし」


「確かに……」



よほどお目付役が気に入らないのか、絆に対しての響生の態度は幼稚で好意の欠片も無い。


このままではさっきのように、架と咲奈がいくら頑張っても響生の一言でいつまで経っても絆に心を許して貰えないだろう。


「まあ、俺も鬼じゃないから。絆嬢の出席日数と成績がノルマに届けば種明かしするって」


……架は鬼じゃないけど悪魔だ。


にっこり笑った架に咲奈はとりあえず愛想笑いで同意してみせた。

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