ぼくらの事情
学園の門を一歩潜るなり、生徒会役員三人の顔は優等生モードに切り替わる。
「おはようございます」
諸委員会のメンバーには丁寧にお辞儀で挨拶され、成績の優秀さから一般生徒にも一目置かれた存在として確立されていた。
「ぅっ…………とんでも三人組」
……一部の例外を除いては。
「おっ、ホントに登校してる。おはよう絆嬢」
教室に向かう最中だった絆は廊下に居る誰とも違う、ものっすごい嫌そうな顔で三人を見つめている。
「おはよーここちゃんっ! 咲奈たち迎えに行ったのに一人で先に行ったりしたら寂しいよーっ!」
そんな絆嬢に構うことなく飛び付く咲奈を、
「だから早く来たんだけど……」
両手でグイッと押し戻し、絆は小さく溜め息を零した。
こんな五月蝿い連中と一緒に登校なんて、まっぴらごめん被りたい。
「絆嬢ーそんなつれないコト言わないでよ。せっかくチューまでした仲なんだからっ」
ハハハッと朗らかに笑う架に、三人は口と目を見開いて固まってしまう。