ぼくらの事情
「はぁ?」
聞き捨てならないとばかりに反応してみせる響生に、
「じゃあ、出来んの?」
やっぱりなと、ニヤッと口角を上げ、更にけしかけるような口振りで言い放ってみせる。
挑発的なその態度に響生と咲奈は思わずムッとして眉を顰め、架を睨んだ。
「出来るに決まってんだろっ。一分で片、付けてやるよ」
「響生カッコイイー!!」
見栄を張って啖呵を切ってみせる響生を、やんややんやと咲奈がはやし立てている。
プライドの高い響生のコトだ。
例え出来なくても、口にした以上は何としても実行に移すだろう。
その時に見せるであろう、しどろもどろした顔を思い浮かべただけでも笑えてくる。
「じゃ、俺が休み時間に絆嬢を呼び出すから。響生はせいぜい頑張ってみてよっ」
にっこりと笑った架はこう言ってヒラヒラと二~三度手を振り、自分の教室の方へと行ってしまった。
「ムッカー! 響生! 絶対に架をギャフンと言わせるよっ!」
架の態度にいきり立つ咲奈は鼻息を荒くし、響生の前に拳を突き立てた。