ぼくらの事情
「最悪って……何が気に入らないのよ?」
「全部だよっ! ママが寄越した刺客。生徒会だかなんだか知らないけどムチャクチャなんだよっ!」
勝手に家に入るわ、その上アホアホと貶してくるわ、事故に巻き込まれた挙げ句、暴言を吐かれるわ……。
常識なんて微塵も無い連中にかき回され、うんざり顔の絆をバックミラー越しに澪路が窺う。
「ハハハ。確かにムチャクチャだな」
「笑い事じゃないよ澪ちゃんっ! 特に生徒会長とかいうのがヒドいんだからっ」
「どうヒドいのよ?」
まさか事故チューで胸まで触られた、なんて言えるワケもなく、
「わたしのことアホ女って呼ぶし、制服のボタン直してあげたのに近寄るなって言われて……嫌われてるし」
掻い摘んで説明していく絆に、
「その子、アンタに気があるんじゃない?」
「俺もそう思うな」
ケラケラと笑う雅に澪路が同意してみせるから、腹が立つ。