ぼくらの事情

結局肝心なコトは伝わらないまま、チャイムの音を聞いた絆は教室に戻っていってしまった。


昨日の放課後のように、都合良く絆が通りかかるワケもなく、


咲奈が見に行った時には、教室に絆の姿はなくなっていた。



というワケで、


「ちょっとでもここちゃんと居る時間を増やして、親睦を深めちゃうぞっ!」



なんていう咲奈の提案で、朝から美園沢家の前にゾロゾロと現れた三人組。



意気揚々と張り切る咲奈の隣で、架は大きな欠伸をしている。


そして、


「はぁ……」


大事な人発言に一大決心の諦めない宣言も伝わらず、昨日から響生の溜め息が止まらない。



「鬱陶しいなー。そんなだからフラれるんだよ」


「フラれてねぇよっ!」



どんより暗いオーラ全開の響生に、朝っぱらから付き合わされてる架は面倒くさそうに後ろ頭を掻いていた。



それでも律儀に付き合ってるのは、幼なじみの厚い友情。



決して、響生が何かやらかしたら面白いから……なんていう、邪心ではない……。
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