ぼくらの事情

三人<澪路。

なんだぁ。の一言で軽く流された三人の頭の中に思わず浮かんだのがこの式だ。


「ごめんごめん。すぐに絆を呼びに行けば良かったな」


袖を引っ張る絆は唇を尖らせて澪路を上目に見つめている。


その拗ねた仕草に、軽く笑いながら頭を撫でてやる澪路。



「……超ラブラブだね。澪路くんとここちゃん」


「そりゃ、男と女が五年も一緒に暮らしてたらあぁなるって」


目の前で何の躊躇いもなく自然となされるイチャイチャなやりとりは、五年の月日が作り出したモノ。



入る余地もない二人の世界を、一歩離れたところで見てる傍観者たち。



「ほらっ。みんな待ってるぞ」


「澪ちゃん、今度はいつ帰ってくる?」


澪路のシャツの裾をギュッと握り締め、不安そうに見つめる絆に、


「今日は絆が帰ってくるまで家に居るよ」


答えた澪路は、サラリと絆の頬を指先で撫でた。



「おまえらは新婚夫婦かっ! ……っていうツッコミ待ちなの?」


待ちぼうけを食らわされてる傍観者たちは、そりゃもう苛立たしげに顔をしかめている。



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