ぼくらの事情

仕方なくそちらを向き、三人が一斉に澪路の顔を見つめる。


一人ひとりの顔を眺めた後、


「まぁ……話っていうのは、絆のコトなんだけど」


切り出された名前に、やっぱりと納得する二人の横で、響生の顔色だけがあからさまに変わっていく。


「まぁ、響生が絆に気があるのは置いといて……」


「なっ! 何言ってんだよっ!」



朝の態度と言い、これ以上わかりやすいヤツは居ないってくらい響生の気持ちはまるわかりだ。


そのことに気付いて居ないのは本人と絆くらいで、


「ハイハイ、響生落ち着いて」


澪路が言い当てたところで、架も咲奈も特に驚くワケもない。

一人赤面してる響生を咲奈が宥め、


「で? 絆嬢が何?」


架が早く続きを話せと澪路に催促している。


「あれだよ。絆のコト、よろしく頼む……って話」



こう言ってヘラッと笑う澪路に、三人は怪訝そうに顔をしかめた。



わざわざ待ち伏せしてまでする話とは思えず、


「言われなくてもよろしくするけど」


「咲奈もだよ」


まだ何かあるのではと疑りの眼差しを架は澪路に向けている。

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