影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
「父上…!」
甲斐様が呟く。
その声色は懇願。
命乞いにも聞こえる。
強く凛々しい甲斐様がそのような声を上げるなど…。
少なくとも私は初めてその声を聞いた。
…だからといって軽蔑などできない。
甲斐様は初代に負い目を感じている。
ここまで初代を追い詰めたのは己のせいだと感じている。
その己が、何故初代を倒す事ができるのか。
その迷いから発せられる声。
「弱い…弱い弱い弱い弱い弱い弱い!」
嘲りにも似た声で初代は叫んだ。
「やはりこの世に『下山甲斐』は俺一人のみ!貴様のような軟弱な隠密など、最早俺の子ではない!下山家の恥さらしめ!」
甲斐様が呟く。
その声色は懇願。
命乞いにも聞こえる。
強く凛々しい甲斐様がそのような声を上げるなど…。
少なくとも私は初めてその声を聞いた。
…だからといって軽蔑などできない。
甲斐様は初代に負い目を感じている。
ここまで初代を追い詰めたのは己のせいだと感じている。
その己が、何故初代を倒す事ができるのか。
その迷いから発せられる声。
「弱い…弱い弱い弱い弱い弱い弱い!」
嘲りにも似た声で初代は叫んだ。
「やはりこの世に『下山甲斐』は俺一人のみ!貴様のような軟弱な隠密など、最早俺の子ではない!下山家の恥さらしめ!」