影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
第六幕
百合
とある武家屋敷。
私は闇の中を静かに歩き、片手にぶら下げた『荷』を屋敷の主に投げ渡す。
…人間の首、しかも三つ。
この屋敷の主に、暗殺して欲しいと依頼された者の成れの果てだった。
「み…見事だ…」
青ざめた表情。
それでも屋敷の主は引きつった笑みを浮かべ、私の『仕事』を賞賛する。
「ご苦労だった。これは仕事の報酬だ」
布にくるまれた小判。
私はそれを受け取ると、無言で背を向ける。
「ものは相談だが」
そんな私の背に、屋敷の主が声をかけてきた。
「報酬は弾む、望むならば仕官の話も回そう、どうだ、わしの専属のくのいちにならぬか?」
「……」
肩越しにチラリと背後を一瞥。
そして私はまた前を向いて歩き出す。
「伊賀の隠密は主を持たない…依頼を果たして金を貰った時点で、お前とは契約切れだ…」
私は闇の中を静かに歩き、片手にぶら下げた『荷』を屋敷の主に投げ渡す。
…人間の首、しかも三つ。
この屋敷の主に、暗殺して欲しいと依頼された者の成れの果てだった。
「み…見事だ…」
青ざめた表情。
それでも屋敷の主は引きつった笑みを浮かべ、私の『仕事』を賞賛する。
「ご苦労だった。これは仕事の報酬だ」
布にくるまれた小判。
私はそれを受け取ると、無言で背を向ける。
「ものは相談だが」
そんな私の背に、屋敷の主が声をかけてきた。
「報酬は弾む、望むならば仕官の話も回そう、どうだ、わしの専属のくのいちにならぬか?」
「……」
肩越しにチラリと背後を一瞥。
そして私はまた前を向いて歩き出す。
「伊賀の隠密は主を持たない…依頼を果たして金を貰った時点で、お前とは契約切れだ…」