影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
後の歴史書に曰く。

六月一日の夕、光秀は一万三千人の手勢を率いて丹波亀山城を出陣し京に向かった。

翌二日未明、桂川を渡ったところで「敵は本能寺にあり」と宣言して襲撃を明らかにした。

六月二日早朝(四時頃とする説あり)、明智軍は本能寺を完全に包囲した。

…その時、私は本能寺を見下ろす丘…その木の枝から明智軍の突入を窺っていた。

あの男から聞いた手筈通り。

信長の滞在する本能寺への謀反。

後の世に言う『本能寺の変』の始まりであった。








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