影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
「蘭丸!」
「はい!」
わしの言葉に蘭丸が叫ぶ。
「次は何を!?刀ならば左文字がここに!」
「いや」
わしは笑みすら浮かべて首を横に振った。
「女衆に逃げるよう伝えよ」
「…信長様…?」
怪訝な表情をする蘭丸。
「奥に籠もる」
その時のわしは、どのような表情であったろう。
蘭丸に…微笑んでいたように思う。
「しばし敵を近づけるな。そしてわしが奥に籠もると同時に、火を放つのだ。よいな」
「…………はいっ」
無念。
そんな色を滲ませ、蘭丸が頷く。
「信長様の首、雑兵如きには取らせはしませぬ!」
「はい!」
わしの言葉に蘭丸が叫ぶ。
「次は何を!?刀ならば左文字がここに!」
「いや」
わしは笑みすら浮かべて首を横に振った。
「女衆に逃げるよう伝えよ」
「…信長様…?」
怪訝な表情をする蘭丸。
「奥に籠もる」
その時のわしは、どのような表情であったろう。
蘭丸に…微笑んでいたように思う。
「しばし敵を近づけるな。そしてわしが奥に籠もると同時に、火を放つのだ。よいな」
「…………はいっ」
無念。
そんな色を滲ませ、蘭丸が頷く。
「信長様の首、雑兵如きには取らせはしませぬ!」