影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
頭領…百地丹波はこの伊賀を統括している人物。

当然この里に属する隠密については全て把握している。

俺の父、初代下山甲斐とも面識がある。

初代は伊賀十人衆の一人に数えられる優秀な隠密だ。

知らない方がおかしい。

だが、その初代がこの里から姿を消して、既に数ヶ月が過ぎていた。

家族であり、弟子でもある俺に何の連絡もなく。

最初は頭領から密命でも受けて里を空けているのかと思い相談してみたのだが、そういう訳でもないらしい。

現在も頭領が部下の忍を使って情報収集に当たってくれているようだが、何せ初代…父上も伊賀の上忍だ。

そう簡単に痕跡を発見されるような行動は取っていないだろう。

結局父上の足取りは掴めず仕舞い。

止むを得ず俺が下山家を切り盛りするという状況だった。

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