影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
服部半蔵正成はかつての伊賀御三家としての立場を活用して伊賀忍者に渡りを付けて、伊賀を抜けて三河に帰る為の道筋の使用と道中の警護を生き残りの伊賀忍者に行わせる事に成功する。

この道筋は伊賀忍者しか知らなかったものであった為、家康一行は安全にかつ早急に三河に帰国できたのだ。

この功績により、かつて信長によって離散していた伊賀忍者達を家康が同心として召抱える事になり、伊賀忍者達を服部半蔵が統率するという事になった。

「そういった経緯だったのですね…」

俺の話を聞いた百合が頷く。

「それで…甲斐様はどうなさるおつもりなのですか?」

「……」

俺は黙考する。

伊賀は契約以上の主従関係を求めない。

そういった点では、服部半蔵の呼びかけは、これまでの伊賀のやり方に反する。

しかし、今伊賀忍軍は信長によって離散させられ、所在すらわからぬ者さえいる。

百地様が討ち死に、藤林様も行方知れずの今、半蔵…いや、半蔵頭領の下に集結するのは、伊賀忍軍を立て直す好機なのではないだろうか。


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