影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
半蔵頭領は、生きて集結に応じた私達にねぎらいの言葉をかけて下さった。

天正伊賀の乱には参加していないとはいえ、そこは同じ伊賀の出。

修羅場を潜り抜け、生き残った私達に対する評価はとても高いものであり、私達はそれを素直に嬉しく思った。

「正直お主らのような優秀な隠密が参じてくれた事は有り難い。わしが家康殿より仰せ付かった任務は、少しでも多くの優秀な隠密を必要とする、難易度の高い任務ゆえな」

頭領の表情が曇る。

「お恐れながら」

片膝をついたまま、甲斐様が言う。

「頭領の命ぜられた任務とは、どのような…?」

「……」

しばしの沈黙の後。

「お主らにも…いや、天正伊賀の乱を生き残った伊賀忍軍の者にも無関係とはいえぬ任務じゃ」

頭領はそう前置いて言った。

「甲賀忍軍の追討」

< 148 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop