影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
「豊臣は徳川を、徳川は豊臣を、天下の覇権掌握の為に、あわよくば亡き者にしようと画策しておる」

頭領の言葉に私達は頷く。

当然だ。

現在のこの国の二大派閥、それが豊臣と徳川。

互いに目の上のタンコブなのは言わずと知れた事。

そしてこの二大派閥が、それぞれ隠密最大勢力である伊賀と甲賀を配下に置いた。

「この意味が分かるか?」

頭領の言葉に、甲斐様が答えた。

「つまり、伊賀と甲賀の戦いは、徳川と豊臣の代理戦争という事…」

「如何にも」

頭領の声が重々しいものに変わる。

「我ら隠密同士の戦いが、そのまま天下の覇権を巡る戦いに他ならないのだ」

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