影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
さて。

改めて伊賀忍軍小頭となった俺に与えられた任務は、この徳川の領地である三河国の守護。

甲賀を配下につけた豊臣方。

その豊臣が手っ取り早く目障りな徳川家康を消すにはどうするか。

至極簡単。

答えは暗殺だ。

潜入術と殺人術に長けた隠密を召し抱えているのだ。

それを利用しない手はない。

となると、我ら伊賀忍軍の役目は、まず三河国に甲賀隠密を侵入させないところから始まる。

国境付近の要所要所に伊賀の隠密を配置し、出入りする人間の動向を探らせる。

闇に乗じて、変装して、大胆に、細心に。

隠密はあらゆる手段を利用して潜入してくる。

あらゆる可能性を考慮し、その潜入を防ぐ。

狐と狸の化かし合いだった。

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