影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
三河国付近の地図を広げ、黙考する。

「甲斐様」

思案している俺のそばに、百合が歩み寄ってきた。

「下忍の配置、如何致しましょう?」

「……」

俺は三河国に通じる全ての街道、同時に。

「ここだ」

河川にも筆で印をつける。

「水の流れのある所…河川や地下水脈にも下忍を配置し、探らせてくれ」

「水の流れのある場所?」

百合がキョトンとした。

街道ならばすぐに納得がいくだろう。

だが。

「水の流れのある場所とは…一体…?」

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