影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
甲斐様の読みはこうだ。

徳川家康暗殺に動く甲賀隠密。

しかし三河国国境には伊賀忍軍が張っている。

如何に甲賀といえど、おいそれと潜入できるものではない。

本来ならば直接家康の元に出向いて直接手にかけるのが理想だが、それが出来ないとなればどうするか。

甲賀ならば毒殺を考えると甲斐様は読んだ。

戦国時代の日本では、他所から来た人間に対する警戒心が強かったので甲賀忍者は薬売りに扮していたと言われている。

製薬技術が普及していなかったこの時代は、富山などの製薬が盛んな土地から各国を回って、置き薬売りをすることは珍しくなく警戒心を抱かれにくいという利点があったのだ。

現代でも甲賀忍者の名残からか甲賀市は製薬業が盛んな土地。

甲賀は薬の知識に長け、その裏である毒の知識にも詳しかった。

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