影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
カッとなり仕掛けない俺を見て、もう一度笑う初代。

「堪えたか…二度三度と同じ手は通用せぬと見える…多少は賢いようだな。ならば…」

「!!!」

左右に素早く身を振って、初代が分身の術! 

同時に高速で背後に回りこみ、仕掛けてくる!

俺は逆手に持った刀を背後に突く!

が、初代はそれを手甲でいなし、すかさず俺の脇腹に膝蹴り!

「っっっ!」

胃液が逆流する感覚。

それを必死に堪えて後ろ回し蹴りを放つが、蹴りは虚しく空を切った。

それどころか不安定になった体勢を突かれ、掬い上げるような投げで地面に叩きつけられる!

「くっ!」

受け身を取り、素早く立ち上がると。

「!?」

初代の姿は消えていた。

四方を見回したものの、その姿は忽然と消えてしまっている。

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