影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
忍者刀を構え、神経を尖らせる。

逃げたなど有り得まい。

必ずどこかに身を潜め、様子を窺っている筈。

どこだ…どこに隠れている…?

気配を読む事に集中する俺の頭上で。

「!」

木の葉の擦れる音。

「そこか!」

咄嗟に手裏剣を頭上に打つものの、不発。

背後に何かが舞い降りてくる!

反射的に手にした忍者刀を振り向き様に横薙ぎ!

だがこれも空を切った。

ふと足元を見ると、拳大ほどの石。

ぬかった。

初代はこれを俺の頭上の木の枝に投げ込み、撹乱したのだ。

それに気づいた瞬間。

「未熟!」

茂みの中に身を潜めていた初代が、俺の足元を払った!

< 179 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop