影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
またも転倒。

そんな俺の上に、初代は馬乗りになる。

…いいように遊ばれている。

「信玄を仕留めた暗殺術は認めてやるが…こと忍術での化かし合いでは、まだわしには敵わぬようだな、甲斐」

馬乗りのまま、俺を見下ろす初代。

鋼鉄の手甲が鈍い輝きを放った。

あんなもので顔面でも殴られれば、頭蓋ごと砕かれてしまうだろう。

だがこの馬乗りの体勢から逃げる術はない。

隠密は格闘技術にも精通している。

現代における総合格闘技の技術も、格闘術の一つとして取り入れていたとさえ言われている。

「遺言などは聞かんぞ。貴様も隠密ならば後腐れ残さず逝け」

大きく振りかぶった初代の拳が、俺の顔目掛けて振り下ろされる!

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