影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
「以前の戦いでは迷いがあった…実の父親を殺すという覚悟、それが足りなかった…それ故に苦無を使う事もできず、みすみす敗北を喫する事になった。だが」

頭巾から覗く甲斐様の眼。

その眼光に力がこもる。

「影に生きる隠密の分際で権欲に現を抜かす貴様は、最早隠密でも父上でも非ず。抜忍成敗…今こそ果たさせてもらう」

「ぬかせ!」

残る片腕で、初代は甲斐様に襲い掛かる。

拳打…と見せかけて。

「!」

指で甲斐様の目を貫こうとする。

貫手!

だがこれを上体をそらして回避する甲斐様。

その時に生じた隙を突き、初代が甲斐様の股間を蹴り上げる!

金的。

ふざけているように見えて、金的というのも実戦では効果的な攻撃だった。

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