影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
甲斐様の顔色が変わる。
「いや…所在がわかったというのは、ちと語弊があるな」
頭領は言葉を選んでいるようだった。
「いいか、よく聞け甲斐…わしの放った斥候から得た情報なのだが…お前の父親、初代下山甲斐が、伊勢松ヶ嶋城を出入りしていたという」
伊勢松ヶ嶋城。
その城ならば私も知っている。
確かかの織田上総介信長の息子、北畠信雄のいる城。
この伊賀の里からも然程遠くはない。
しかし、甲斐様のお父上…初代が何故そのような城に出入りなど…。
首を傾げる私だったが、甲斐様は頭領のその言葉だけで真意を悟ったようだった。
「頭領…まさか…」
「まだ断言は出来ぬ…出来ぬが…」
頭領は厳しい眼で甲斐様を見据えた。
「もしもの時は覚悟をしておれ…そういう話だ」
「いや…所在がわかったというのは、ちと語弊があるな」
頭領は言葉を選んでいるようだった。
「いいか、よく聞け甲斐…わしの放った斥候から得た情報なのだが…お前の父親、初代下山甲斐が、伊勢松ヶ嶋城を出入りしていたという」
伊勢松ヶ嶋城。
その城ならば私も知っている。
確かかの織田上総介信長の息子、北畠信雄のいる城。
この伊賀の里からも然程遠くはない。
しかし、甲斐様のお父上…初代が何故そのような城に出入りなど…。
首を傾げる私だったが、甲斐様は頭領のその言葉だけで真意を悟ったようだった。
「頭領…まさか…」
「まだ断言は出来ぬ…出来ぬが…」
頭領は厳しい眼で甲斐様を見据えた。
「もしもの時は覚悟をしておれ…そういう話だ」