影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
「抜忍成敗」

表情一つ変えずに俺は呟いた。

裏切りや脱走はいかなる事があっても認めない。

例え親兄弟であろうとも、伊賀の掟に背く者は厳酷に処断する。

それが伊賀忍者の定め。

伊賀十人衆だから、その息子だから。

そんな理由で免除されるものではない。

例外は認められない。

裏切り者には死罰を。

「もし初代が今回の件の発端となっているのであれば…俺が…二代目下山甲斐がこの手で引導を渡します。下山家の恥は下山家の者の手で注ぎます」

「…わかった」

棟梁は静かに目を閉じ、頷いた。

「丸山城を修繕される前に行動に移る。甲斐、配下を連れて早速出向け」

「委細承知」

再び頭巾で顔を覆い、俺は行動を開始した。


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