影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-

甲斐

闇に乗じて丸山城に突入する。

まずは城門付近に集結する足軽どもだ。

当然正面から斬り付けたりはしない。

火の手が上がり、動揺を隠し切れない兵卒達。

その背後から回り込み、苦無で喉笛を掻き斬る!

「ぐえっ!」

奇声を上げて倒れる足軽。

その異変に気づく間もなく、俺は次々と周辺の兵卒を葬り去る。

初手で一撃必殺。

二之太刀など必要としない。

そもそも隠密の戦術は暗殺術に近い。

人知れず、一撃で、確実に命を奪うもの。

故に狙う箇所は全て急所。

卑怯邪道は問わない。

効率が良いとわかれば刃に毒すら塗りつける。

隠密とはそういうものだった。

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