影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
こうして、一万もの北畠軍を敵に回しながらも、伊賀忍軍は見事丸山城を焼失させた。

恐らくは歴史上初めての、『隠密による軍の壊滅』。

この夜の出来事は、『第一次天正伊賀の乱』と呼ばれ、歴史に刻まれる事になる。

伊賀忍軍の卓越した戦闘能力と、隠密の恐ろしさを日本全土に知らしめた戦。

…しかし。

一次があれば二次もある。

北畠を討つ事なく見逃した俺の判断は、後々大きな戦に発展する事になる。

俺はわかっていなかったのだ。

鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス。

そう詠われるほどの気性の荒さを持つ、あの男の恐ろしさを。

第六天魔王の異名をとる、尾張の戦国武将。

伊賀忍軍は、この戦に勝利した事で最強の敵を迎える事になる…。

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