影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
第三幕
信長
安土城。
現在の滋賀県蒲生郡安土町にあった、絢爛豪華な城。
その天守にて。
「この…たわけがぁっ!」
わしは目の前にひれ伏す北畠信雄…実の息子に杯を投げつけた。
「ひひ、平に!平にご容赦を!」
平伏したまま、憐れなまでに縮こまる信雄。
しかし勘弁ならぬ。
わしは憤慨しきった心を抑える事かなわず、尚も吠える。
「お主が勝手に進軍し、勝手に犬死するのは構わぬわ。お主の代わりなど我が軍には幾らでもいる。お主以上に有能な武将も多数召し抱えておるわ。愚将が何人屍を晒そうが露とも感じぬ!」
わしの激昂に、その場に居合わせた諸将達も水を打ったように静まり返る。
「だがな信雄!諸国の大名どもはお主の敗戦をどう捉えるかわかるか?」
鬼が如き形相で。
わしは実子を睨みあげる。
「貴様の敗戦は、天下の武将、織田上総介信長の敗北と捉えるのだ!貴様はわしの顔に泥を塗ったのだ!」
現在の滋賀県蒲生郡安土町にあった、絢爛豪華な城。
その天守にて。
「この…たわけがぁっ!」
わしは目の前にひれ伏す北畠信雄…実の息子に杯を投げつけた。
「ひひ、平に!平にご容赦を!」
平伏したまま、憐れなまでに縮こまる信雄。
しかし勘弁ならぬ。
わしは憤慨しきった心を抑える事かなわず、尚も吠える。
「お主が勝手に進軍し、勝手に犬死するのは構わぬわ。お主の代わりなど我が軍には幾らでもいる。お主以上に有能な武将も多数召し抱えておるわ。愚将が何人屍を晒そうが露とも感じぬ!」
わしの激昂に、その場に居合わせた諸将達も水を打ったように静まり返る。
「だがな信雄!諸国の大名どもはお主の敗戦をどう捉えるかわかるか?」
鬼が如き形相で。
わしは実子を睨みあげる。
「貴様の敗戦は、天下の武将、織田上総介信長の敗北と捉えるのだ!貴様はわしの顔に泥を塗ったのだ!」