影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
伊賀の里の入り口は、里をぐるり取り囲むように六つ存在する。

いずれも獣道の如く発見は困難で、非常に出入りの難しい場所。

口説明だけではとても見つける事はできない。

そしてこれら侵入口のうち半分は、伊賀の里の隣に位置する甲賀の里内にあるものであった。

つまり信長の軍が伊賀に攻め入るには伊賀の里から正面切って攻め込むか、甲賀の里の侵入口から攻め込むしかない。

いずれにせよ、隠密集団との真っ向勝負は避けられない。

下手をすれば甲賀流まで敵に回す事になる。

如何にうつけ殿とて、二大忍術流派を敵に回す事がどれ程厄介な事かは理解できるだろう。

それ故に磐石。

この里は難攻不落。

如何な第六天魔王とて伊賀の里は陥落できぬ。

わしは少々タカをくくっていた。

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