影を往く者、闇に逝く者-戦国隠密伝-
進むほどに織田軍の兵は湧いて出る。

四万という数。

実際に相対するとその膨大さに愕然とする。

実際の数は四万以上なのではないか。

そう思わされるほど、延々と人を斬る。

「ちっ…」

苦無が、血糊で切れ味を失い始めた。

それでも、正面から斬りかかってくる兵士の斬撃を回避し、反撃の刺突を食らわせる事で最後の役目を果たさせる。

あとは百合から受け取った忍者刀で戦う。

逆手持ちの刃で、襲い来る兵士達を撫で斬りにする。

まるで剣術稽古の百人抜きだ。

最早伊賀忍軍の生き残りは俺だけなのか。

ふとそんな不安すら覚えた。

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